
ハッ!と息を飲んで目が覚めた。夢の中で、友人が目の前でビルの屋上から飛び降りたのだった。一瞬の出来事で、とても止められなかった。そういうことがあってもおかしくない経験をしている人だから、夢だとわかっていても両方の肺がつぶれそうな胸の痛みを覚えた。怖かったけど、また眠る。
そして今度は、カズが死んだ夢を見た。いまの年齢ではなくて2歳前くらいの、本当にオチビちゃんの頃。ダーと2人で、たわいない会話をしていて割と平気。というか、そのことに触れたらもう生きていけないから、互いにあたらずさわらずの態度で接している感じ。とてもリアルだった。
たぶん昨夜、カズの幼い頃を思い出しながら眠りについたからだと思う。
思えば子どもって、毎日、死んでいるのだ。日々、ものすごいスピードで成長していて、昨日のカズはきょうはもういない。
「たとえ神の無慈悲によって、その小さな命の灯がいま吹き消されようとも、生まれてきてよかったと思えるような毎日を親は子どもに与えてやらねばならない」(意訳)と、父が昔、語ってくれたルソー『エミール』の一節を思い出す。父は私たちを、そのような思いで育ててきたのだ。毎年春夏の小旅行のほか、長女の私は特に、フランス料理や相撲観戦・バレエ鑑賞、ゴルフなど、普通、子どもがしないような経験をたくさん積ませてもらい、大きくなった。もちろん、私もカズを、同じ信念で育てようと決めている。未熟さゆえ、キレてしまうことは棚に上げてだけれども。
今日も終日原稿。午後、なにもかもいやになり、本気で吐きそうになった。うーとかわーとかひとりで言って、なんとか今日の目標をクリアした。
18時半、カズ迎え。寒いので、自転車ではなく歩きで行った。帰り、また「マラソンだ!」が走り始める。ずっと、ヒーヒー、ブキャブキャ笑いながら走るので、ものすごく疲れるだろうなと思う。帰ったら汗だくだった。
私は牛すじのカレー。ちょっと臭みがあったので、キャラウェイシードとガラムマサラを入れたら、格段にうまくなった。とろとろ。カズは、嫌がらせかいと思うくらい、カズが嫌いなピーマンが入っているチンジャオロースー(家にある食材で作れるものがそれくらいしかなかった)。でも、全部たいらげた。偉い。
月曜の夜は、カズと一緒に楽しめるクイズ番組が多くて楽しい。食後、「ネプリーグ」と「Qさま!」をハシゴして見る。カズは、タイムアウトが迫るととてもドキドキするらしく、布団につっぷしてしまい、結果を見ようとしない。それがおかしくて、私はげらげらと笑ってしまう。
いま、カズのお迎えからヤツが眠るまでのあいだは、私にとって、本当に癒しの時間だ。
なのに途中、何気なくしたメールチェックで、プッツン。すべての糸が切れてしまう。
いま進行中の仕事について、また追加作業の依頼。本来、私でなくて別のライターさんがやるべきことだったのは明白だ。もとからあり得ない予算だったけれど、一度引き受けた仕事だからと、なんとか先方が困らないように超急ぎの原稿もすべて協力してきたつもりなのに。毎日、ゴールをめざして全力で走っていて、「あともうすぐだ」と思うたびに白いテープをひょいっと向こうに持って行かれる感じ? しかも何度も、悪気無く、ご褒美もなく、当然のように。「お察しいただけるかわかりませんが、こちらも毎日いっぱいいっぱいでやってます。もう、限界です。当初の予算に上乗せしていただくか、他のライターさんにお願いしてください」と送信。普通、こういうことをメールで送ると後味が悪いものだが、かなりすっきりした。相当、たまってたんだ。
なんかもう、本当に疲れちゃった。
寝る前、カズに「あしたの朝、ママがもし死んでて起きなかったら、パパに電話してね」と言ったら、「だって、電話の仕方、わかんないもん」と答えた。「わかるでしょ、こないだ教えたでしょ」「・・・」。しばらくしたら、「ママ、もう、ママが死んだらって言わないで」と涙声。そういえば幼い頃は、お母さんが死んだらとか考えるだけでも、泣けてきちゃったものだよなぁ。「悲しくなってきちゃった」とカズ。ごめんよ、もう言わないから。
そうそう、今日はダーの誕生日。カズと夜、電話しようかと話していたけれど、ダーツかもしれないのでやめた。「あした、なんかおいしそうなケーキがあったらパパに買って届けようか」とカズに言ったら「(ゲームセンターで取った)アポロがあるじゃん」と言った。そうそう、大漁の日に、事務所のポストに入れてきたのだ。よく覚えてるな。「ねーねー、パパにケーキ買ったらさぁ、カズくんはお誕生日じゃないから食べられないの?」「ねぇ、食べちゃダメなの?」と何度も聞いてきたのがかわいかった。
なんだかむしゃくしゃして眠れず、カズ就寝後、きのう恵比寿三越でゲットした貴重なシンハービールを飲み干して就寝。
※カズ、どきどきの図。