コトノハマニア

言葉を紡いで生きていく

ハーセプチン+治験薬 8C/18

朝からカズと大掃除。今日はカズの親友が我が家に遊びに来るのだ! 

実は、子どもの友だちを家に呼ぶのさえ初めて。あっくんを保育園に送った後、最寄りスーパーで菓子やジュースなど買い出し。お友だちのママがどれほど放射能や添加物のことを気にしているかわからないので、悩むなやむ。カズが遊びに行った時には、コーラやポテチを普通に食べているらしいから、そんなに神経質になることはないと思いながらも、やっぱり自分自身が許せるものがなく…。さらに、お菓子の下に敷くペーパーナプキンも無地の白しかなくて。「あー、駄目だダメだ全然。大体、こんな直前に用意しようとするから…!」と自分に怒ったら、カズが「そうだね」と言った。

掃除も、お菓子の準備とかも、別にどうだっていいとテキトーにやればいい。でも、私の中のもう一人の私が、常に文句をつけてくるのだ。「そんなんじゃダメよ! 恥ずかしいじゃないの!」。恐らく、生涯消えることのない、インナーマザー。本当に厄介だ。

てっきりテレビゲームをやるのかと思って、リビングだけぴかぴかにキレイにして、他の部屋は適当に片付けただけで閉めきっておいた。まして押入れなど、開けたらぐっちゃぐちゃの埃だらけなのだが、カズがお友だちと一緒に「何やる?」と真っ先に向かったのが、よりによって寝室の押入れ! 思わずドスのきいた声で「カズ! そこは何もないよ!」と叫んでしまったが時すでに遅し。で、私は朝からの準備に疲れ果て、唯一の別室で、暑い中、扇風機だけかけてずっと寝転がっていたのだが、結局、子供相手に、入っちゃダメ、やっちゃダメ、などということは通用しないのだとよくわかった。

やがてドスンバタン、かくれんぼやドッチボールが始まった。そして、耳だけで様子を観察して気づいた。

“カズが子どもになってる!”

ジャンクおやつを食べる、甘いジュースを飲む、大声で笑う、叫ぶ、わがままを言う、怒鳴る、暴れる、気分次第で遊びを変える、そして(恐らく)やりっ放しにする…私の知らないカズがいた。

ごめん、カズ。あっくんが生まれた時から私はずっとお兄ちゃんとしてあんたばかりを頼っていて、あんたが子どもになるのをずっとずっと許していなかった。今でも毎日そうだもんね。気性の激しいあっくんのことは面倒くささもあってとことん甘やかすのに、カズの穏やかさに甘えて、あんたにだけ、いつも厳しく色々なことを要求してた。でもまだ小4なんだよね…。他の大多数の同年代の子たちと合わないのも、もちろんカズの元来の性格もあるけれど、私がそう育てちゃったんだ。一生懸命あっくんの面倒を見てきたのに、あっくんが何でも一人でできるようになった最近じゃ、世話を焼くと私やあっくんに怒鳴られてる。本当にごめんね。そして、いつも、ありがとう。

4時間まるまる遊んでも別れが名残惜しいらしく、互いに寂しげな顔をして、結局、カズはお友だちを家まで送っていった(送って、送られてって、昔さんざんやったよ。恋人か!)。興味深かったのは、お友だちがおやつを持参していたことと、麦茶にまったく手をつけなかったこと。子どもってそんなものなの? ジュースや炭酸なんか、逆にすぐに喉が乾くだろうに!

一人で保育園に行っているあっくんがなんだか可哀想になって、帰宅してすぐ最寄りの公園へ出直す。虫取り網とカゴを持ち、セミをつかまえに行くのだ。お友だちはみんなセミがつかめるから、自分もつかまえて絶対つかんでやる!と張り切っている。そして実際すぐに見つけて、えいっと網をかぶせ、地面に落とし、バタバタと暴れるセミを試行錯誤しながら小さな手で捕らえて私に見せた。「やったーっ! セミゲット!」。そのポーズは、まんま「どうぶつの森」。それにしても獲物を見つけてからの反射神経がすごい。網を返して逃げないようにするとか全然教えていないのに、つくづく感覚派、肉体派だなぁ。カズは、頭で理解して納得してからでないと体が動かない。たぶん、セミに網をかぶせるところまでいったら、「次、どうすると?」って絶対聞くと思う。

しかし肉体派のオソロシさも実感。「さぁそろそろ帰るよー」と言った瞬間、私が思い切り勢いをつけて押していたブランコからあっくんが飛び降りた! 無事着地してスタスタ歩き出した瞬間、あっくんの頭めがけてブランコが揺れ戻ってきた! あわや直撃か!と、周囲にいたママたちがみな「あぶない!」と悲鳴を上げた。ギリギリセーフだったけれど、本当に危ない場面だった。いや、あっくんだったら、よけてたかな、わからないけど。

カズ、お友だちが帰ってしまった家にいても、ずっとつまらなそう。珍しく一人で本なんか読んでいる。ウェットな人だから、たぶんまだ寂しさを胸に抱いているのだろう。毎日書く一行日記を「ちゃんと書いてると?」と聞くと、「うん」。「じゃ、見せて(実はここ5日くらい書いてないのを知ってる)」と言ったら、あっさり、「ごめんなさーい、書いてませーん!」と軽く言った。いつもなら嘘に怒るところだが、今日はなんだか可哀想なのでやめておいた。

気づけばカズ、左目が真っ赤! 痛いらしいし、さらに目ヤニもたくさん。明日から病院はどこもお盆休みだというのに、まったく間の悪いやつだ…。言われないと面倒くさがって顔も洗わない不潔野郎なので、「汚くしてるからやろ!」とついブータレてしまったが、すぐに思い直した。「いやでも、あれだけたくさんの人がいるプールで2回も泳いだんだもんね。あっくんや私のつぶらな瞳と違って、カズは目も大きいし、バイキンもいっぱい入るやろ。仕方ないね。全然カズのせいじゃないよ」と頭をなでたら、こくんとうなずいてくれた。またまたまたまた、ごめん。