夜半、ものすごい風だった。
消灯時間の22時に冷房が止まって暑いので、窓を開け、風が通るように個々を仕切るカーテンも少しずつ開けて眠ったのだが、夜中に目が覚めたら、全員分のカーテンがぜーんぶ開けっ放しになっていて、みんなその中で眠っていた。ブラインドがバタンバタン音を立てているのに、誰も起きない。睡眠剤の効果か? 恐ろしや。
そんなわけで朝、退院する3人がドスンバタンと帰り支度をしているのに、私だけ起きられない。
本日治療なので、8時半から順番とりに並び、朝イチで風呂。
朝食後、昨日バッドニュースをくれたネガティブさんと同部屋の女性にご挨拶に行く。かつて会った時、彼女は手術前で元気だったのに、今や髪はなくなり(私もだけど)、抗がん剤・放射線・ハーセプチン・ホルモンのフルコースをやるとかでかなり消耗して見えた。以前は穏やかで優しくて笑い上戸のとっても明るい人だったのに、こういう時、心底、癌が憎らしいと思う。
10時から点滴。ベテラン先生でさえも刺しにくいくらい硬くなっているという私の血管。「危ない危ない、あとちょっとで突き破るところだったわ」と言われた。
ハーセプチン→治験薬。始まってすぐ少し頭痛がして、投与中はずっとうつらうつらして、終わる頃、喉がつかえているのに気づいた。いずれも看護士に報告したら結構おおごとになってしまい、他の看護士や先生など色々な人が症状を聞きにきた。
みんな退院して個室状態だったが、昼食時、個室から女性が一人移動してきた。治療内容を聞いたら、ともちゃんと同じ治験のようだったので、彼女を呼びに行き、3人で話したら、なんと全員同級生だった。
午後は、Ariettaのお菓子を持って1階へ降り、一人コーヒータイム。自販機で有機珈琲を買ったら、全商品のランプが点滅して壊れたのかと思ったらアタリ! 120円が返ってきた。
夕食中は同部屋のOさんとまたずっと話す。
担当医が回ってこられたので副作用の件で相談。いま一番困っている関節のこわばりについて。今の私は、まるで全身が油の切れたロボットのようなのだ。モノを落とすなんて日常茶飯事、座った姿勢から立ち上がろうとしても膝が痛むからゆっくりとしか立ち上がれないし、踵や足首が痛いからスムーズに歩けるようになるまで時間がかかる。一番危ないのは運転でハンドルを握った状態から別の動作をしてまたハンドルに戻そうとしても瞬時に握れない。力が入らないのだ。
先生いわく、しびれ・むくみ・関節痛が多くの人に出るタキソだけでなく、私がやっている治験薬も、10%程度、副作用として筋肉亢進症を起こすことがあるらしく、現時点ではどちらが原因なのかつかめない。また、抗がん剤で閉経してしまったため、更年期症状が出る場合もあり、その中に関節のこわばりもある。いずれにしてももう少し経過を見たいが、あまりにつらく、日常生活に支障が出るようなら、治験をやめることも考えなければいけないと。「えー、でも私はハーセプチンのために抗がん剤を頑張ったので、あと半年はガマンします」と言ったら、先生も、ハーセプチン単体では3割程度の人にしか効果が見られないが、抗がん剤と組み合わせることでそれはぐんと上がる。抗がん剤+ハーセプチン+治験薬は理論上から言ってもかなりの効果が期待されるので、できればやったほうがいい。ただ、もしやめることになっても、既に7回打っているわけだから、ハーセプチン0より効果はあるだろうと仰っていた。
入院を心配した癌友の先輩から電話あり。相変わらずのあったかい声に癒される。彼女とよく一緒につるんでいたMちゃんが、つらさのあまり、ハーセプチンをやめたと聞いて、私もそうなったらどうしようとショックだった。抗がん剤に比べて副作用は軽いと言われる分子標的治療薬だが、やっぱり人によって副作用の出方は違うのだ。
今回の入院中、毎晩、食堂は誰もいない。ラッキー!と昨夜に引き続き経理。1時間ほどで領収証整理、半年分終了。なんでこんな短時間で終わることを、日々の中ではなかなかできないのだろう。やっぱ面倒くさいから後回しにしてるだけなんだとつくづく思った。
部屋に戻り、消灯までOさんと話した。冷房が効いて寒いくらい。