「マルレーネ・デュマス展」を観に東京都現代美術館へ。ここは交通の便が悪いし、行こうかどうしようか迷っていた展覧会だったが、ネットでたまたま申し込んだら招待券が当たったのだ。来週はまたどうなるかわからないし、会期中で確かなのは今日くらいなので、雨の中、思い切って出かけたというわけ。
南アフリカ出身、いま最も世界で注目を浴びている女性アーティストのひとりである。自身が育ったアパルトヘイト下での経験をベースに、差別や偏見、そして民族やセクシュアリティ、ジェンダーなど、現代社会が抱える複雑で多様な問題を喚起しているのだと言うが、難しいことは私にはわからない。絵画はもちろんのこと、映像作品2点、さらには本人を追ったドキュメントが良かった。子どもを“自ら望んで"持ったというデュマス。なのに出産後、彼女はジレンマに悩み続ける。「自分はいままで通り自由でいられるのか」「これまでのように自分の興味のあることだけに注力していいのか」「自分をすべて脇に追いやるべきなのだろうか、母親がそうして私を育てたように」「子どもの存在は大きい」。まるで私の心の中を見透かされているようだった。というか、同じことを悩むのだな、と思った。自分らしく生きようとすればする人ほど。
私は個人的には、子どものために無私で尽くす母親より、自分を貫く母親のほうが好きだ。だからできるだけ私もそうしようとしている。が、迷いは常にあるのだ。ただひとつ決めているのは、子どもには嘘をつかず、格好付けず、自分のありのままを見せようということ。あとは、私を好こうが嫌おうが、子どもの自由だからだ。私みたいに、親の正体がつかめない(または騙されていると訝る)不安定な関係では、自分の感情すら決めることができない。
地下一階の「東京ワンダーウォール公募展」と特別公開中の岡本太郎の巨大絵画「明日の神話」を見て。
東京駅の「ドンピエールエキスプレス」で和牛カレー。やっぱうまい。で、帰宅したら15時半だった。ほら、この美術館はほとんど一日がかりになっちまう。
夕方、疲れたのですこし眠った。たとえその睡眠が15分でも、起きねばならない時間に私はぱっと起きられる(昼寝に限り)。
カズ迎え。
かなり前、「酒は一日おき」さらに「カズが起きているあいだは飲まない」、守らなければひどい目に遭うからねー、と自分で決めたのだが、本当にひどいことが起きるので怖くなって今週から遵守。だが、金曜夜だけは無礼講。カズは大好物の豚しゃぶにして、まだお腹が減っていない自分はクリームチーズにハチミツかけて(これにシナモン振ると白ワインの最高のつまみ!)、くるみとともにワインちびちび。久しぶりだから本当においしかった。
最後に、忘れたくないデュマスの言葉を記す。
「いま私たちの怒りや悲しみ、
死や愛といった感情をリアルに表現してくれるのは写真や映画になってしまった。
かつては絵画が担っていたそのテーマをもういちど絵画の中に取り戻したい」
「黒と白が人種でなく色であっても
人びとはやはり恋に落ちるだろう
そして恋人同士の間に差別をもちこみ
寂しく思い、後悔するだろう。
そして心を激しくゆさぶり、
苦痛が美となるところへ
誘ってくれる芸術に焦がれるだろう」
「芸術の狙いは
常に変わらず
自らの名さえ
失念させること」
「マルレーネ・デュマス展」