朝、部長回診。相変わらず慈愛にあふれた、たたずまい。素敵だわ…
今朝から抗がん剤投与に備えて薬を飲むので朝食も少し食べた。食後、吐き気止め薬ワイパックス1錠を飲む。しばし後にまずい味が口に広がる。しばらくしたら頭がボーッとしてきた。精神安定剤と眠くなる効果があるらしい。
9時、点滴準備が始まる。血管が出やすいようにホットパックで左腕下を温める。
10時、担当S先生が点滴確保。エキカオッケー点滴スタート。まずはラクテックGを2時間かけて500ml。これは、乳がんの手術の前後にも水分やエネルギーの補給として使う輸液で、なんてことないもの(事実、日帰り外来で投与する時は省かれる)。
上記点滴中に今日退院して行った人のベッド交換が始まった。なんと1Fの、子宮がんの方が上がってきたのだ。ベッドがいっぱいとのこと。滅多にないことだったのでお昼を食べながら互いに情報交換。やがて食べられなくなるかもと、ちゃんぽん食べ過ぎた。
昼食後に吐き気止めのワイパックスをまた1錠。
食後、ラフテックGを副作用を抑えるための点滴にチェンジ。抗がん剤による急性・遅発性嘔吐を抑えるアロキシ、抗がん剤による過敏症状を抑えるデキサート。この2種を混ぜたものを約5分かけて点滴する。
次が、いよいよ抗がん剤だ。真っ赤な抗がん剤エピルビシンと、同薬による血管の炎症を防ぐ作用も持つという先ほどのデキサートを合わせて点滴。これも約5分。
どっから見てもヤバイ赤い血のようなものが、ボタボタすごい勢いで落ちて行く。「ちょっとこれ大丈夫ですか?」と看護士さんに聞いたら、「ここは全開です!」と言われた。
あとで同室の人に聞いたけど、あの抗がん剤はものすごく強いらしく、長く同じ場所に停滞させてはいけないらしい。万が一、針が外れて血管外に漏れたら、その場所は壊死するそうだ。「だってほら、抗がん剤に一回使った血管だって死ぬよね。見て、私なんて針金みたい!」と言って触らせてもらった血管は、すでに硬く細いスジだった。えー、みんなこんなになっちゃうの?
彼女は術前だから両腕に打ち分けられるけど、術後の私は手術してないほうの右手だけに8本刺していきんだぜ。くーっ
その後、強力抗がん剤エピルビシンによる血管の炎症を防ぐため、生理食塩水100mlを5~10分で点滴。これは一度血管内をざっと洗い流すイメージ?
次に、残りの2種の抗がん剤、エンドキサンと5-FUを生理食塩水100mlに溶かして約30分かけて点滴。この時は、ちょっと胸が詰まる感じはした。
やがて、うつらうつら。さらに、生理食塩水50mlを点滴し、最後のラクテックG500mlに付け替えている頃、起きた。
最後の点滴も2時間かかる。まだ点滴中だが抗がん剤じゃなければトイレに立ってよいので、済ませて戻ってくると、ベテランN先生に遭遇。関西弁の大きな声で「赤いおしっこ出た?」と聞かれたので、「いま出して来ました!」と報告すると笑っていた。
それにしても、あんだけ脅されたけど、別に味覚に障害も起きんし、気持ち悪くならないやん…。点滴が取れた16時に食堂に行き、小川珈琲とともに、あわしま堂のごまくるみ饅頭を食べた。おいしーい。
夕食後はワイパックス1錠に加え、もう1種の吐き気止めデキサメサゾンなんと8錠を飲む。これでやっと本日の任務終了!
夜、担当S先生が寄ってくれる。「どーでしたー?」と相変わらずのんびりな口調で聞かれたので、「どーもこーも!すっごいだるくて眠いですけど、吐き気はないし、食欲もあります!」「夕食は、どのくらい?」「全部たべました!」と言ったら、いつも冷静な先生が金切り声で「ひぇ~っっっっっ!キモ座ってますねぇ~」「?」「だって普通用心して7~8割とか…」「おやつも食べましたよ、珈琲とお饅頭!」「……ま、ま、明日また様子を教えてください」。
我慢強いしっかり者の患者イメージから、ただの無鉄砲の考えなしであることが大好きな先生にバレつつある。