コトハの泉

アラフィフ・コピーライターが綴る、元気とキレイとハッピーのヒント

パラ陸上、今夜から生中継!一般の陸上競技との違いは?見どころは?

本日11/7から11/15まで、ドバイで「2019世界パラ陸上競技選手権大会」が開催されます。100ヵ国以上から1,300名以上の選手が参加予定というこの大会は、2020年東京パラリンピックの前哨戦ともいわれる注目の大会。

今夜からNHKで生放送がスタートします。つい先日までの私と同じように、パラ陸上のことはよくわからないし、今イチ興味がわかないという方も多いかも知れません。そこで今回の記事では、私が興味を持ったパラ陸上の関連情報や見どころなどをご紹介します。

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目次:

 

パラスポーツに興味を持ったきっかけ

先日NHKで、こんな番組を見ました。

www4.nhk.or.jp

パラアスリートの記録向上の鍵を握る義足や車いすなどの競技用具。近年、その性能を飛躍的に向上させた最新テクノロジーと、開発の舞台裏を紹介するとても興味深い番組でした。

障害を持ちながら自らの限界へ挑む選手たちの姿勢はもちろんのこと、選手がベストパフォーマンスを発揮できるように競技用具を開発するエンジニアやサポートスタッフとのタッグ、競技用具の性能が記録に影響する「テクノロジードーピング」(不公平性)の議論など、複合的な側面を持つパラスポーツに俄然興味がわいてきました。

また、障害の程度によって卓球台の見え方が違うことを実際の卓球台に再現した「パラ卓球台」のニュースも、パラスポーツに興味を持つ大きなきっかけとなりました。

jptta.or.jp

あとは祖父が視覚障がい者で、小さな頃から全盲者の生活の様子を間近で見る機会があったというのも関係あるかもしれません。友人の子どもにも何人か障がいを持つ子がいますし、自分も大病を患った過去があり病状が進むにつれて様々な障がいが出るケースもあるので、何にせよ他人事ではないというのが正直なところです。

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パラ陸上と一般の陸上競技の違い

パラ陸上は、選手の障がいの種類や程度によってできないことがあり、またケガのリスクなどを考慮して、ルールを一部変更しているほかは、一般的な陸上競技と大きな違いはありません。

トラック競技やフィールド競技など数多くの種目があり、一般の陸上競技と同じように、アスリートは「より速く、より高く、より遠く」を目指して競い合います。

ただし、パラ陸上には、車いす、義足、視覚障がい、知的障がいなど様々な障がいを持つ選手が出場するため、選手は障がいの種類や程度によってクラス分けされ、そのクラスごとに順位を競うのが最大の特徴です。

このクラス分けは、医師や理学療法士、公認のコーチやトレーナーなど、クラス分けを行うために必要な知識・技術を学んだ専門の委員によって行われます。

・陸上競技に必要な筋力や動作、関節の可動域などのテスト

・腕や脚が切断されている場合は欠損部分の長さを測定

・大会では実際に競技をしている姿も観察

これらを徹底的にチェックした上で、公平な条件のもとで競技が行われるようにクラスを決めていくのだそうです。

競技用具にも注目

義足(ブレード)

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競技用の義足は板を曲げた形状をしているため板バネまたはブレードとも呼ばれます。ブレードは高い弾性を持ち、地面を蹴る際の反発力を推進力に変えてスピードを得ることができます。

前述のNHKのテレビ番組では、ブレードの開発過程が詳しく紹介されていました。その鍵となるのが素材と形状です。

素材については、1980年代の半ばに「CFRP」と呼ばれるカーボン繊維強化プラスチックを使った義足が作られてから競技記録が飛躍的に伸びたそう。このカーボン繊維は、細さは髪の毛の1/10、強度は鉄の10倍、弾性率は鉄の7倍というスーパー素材

ブレードは、カーボン繊維のシートを60層以上も重ねて作られます。カーボン繊維は、縦方向に引っ張った時には本来の強い力を発揮しますが、横方向には手で軽く引っ張っただけでバラバラになってしまいます。また、強度を高めるため繊維を斜めに織ると今度は重くなってしまうため、繊維の方向が違う4種類のシートを作り、それらを組み合わせてすべて手作業で作られるのです。まさに職人技!

また形状も、人それぞれ身体のサイズや障害の度合い、走り方のクセが違うため、「ブレードの高さ」「硬さ」「かかとの長さ」「つま先の長さ」をそれぞれ3段階に分けた全81種類のブレードから9本を実際に選手に履いて走ってもらい、その後、コンピュータ上で選手の走りを再現することで、残りの72本を含めてどのブレードがそのアスリートにとってもっともいいかを調査する研究が行われているということ。

素晴らしいなと思ったのは、こういったシミュレーションが、高齢者の歩行支援機器や日常で履く靴にも応用が可能だという点です。パラアスリートのための研究が、私たちの日常にも活かされてくるのです。

競技用車いす(レーサー)

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大きな2つの後輪と小さな前輪が特徴の競技用の車いすは「レーサー」と呼ばれます。

フレームは軽くて丈夫なアルミニウムやチタンで作られ、重量は8~10kg。マラソンの下り坂になると、そのスピードは時速50kmになることも!

座る姿勢にも違いがあり、比較的、障がいが軽い選手はスピードを上げるため空気抵抗を減らして姿勢を低くできる「正座の姿勢」で乗っています。 一方、腹筋が機能しないような障がいの重い選手は立膝などで「重心を後ろにした着座姿勢」をとっています。

前述のテレビ番組では、地面からの震動はレーサーのふらつきや操作性の低下につながるため、地面からの衝撃を吸収させるために、CFRPと合わせて振動を吸収する性質がある「アラミド繊維」を使用していることを紹介していました。この組み合わせにより、振動を25%抑え、安定して走行できるレーサーの開発に成功したそうです。

他にも、レーサーの車輪の回転時の摩擦を少なくするベアリングという小さな部品の開発風景も紹介されていました。日本記録保持者のトップアスリートがベアリングの種類を変えた2種のレーサーで実際にテスト走行して開発者に感想を伝えます。選手のフィーリングをエンジニアがうまくかみ砕いて形にする。選手本人も仰ってましたが、まさに二人三脚の開発風景でした。

リレーのバトンはどうするの?

リレーは、男女2名ずつ、異なる障がいの種類の選手を組み合わせて構成されるユニバーサルリレー。バトンの代わりに、タッチをして次の走者へつなぎます。

ちなみに走順は、第1走が視覚障がい、第2走が切断や機能障がい、第3走が脳性まひ、第4走が車いすと決められています。

パラ陸上ならではの競技も

 
投てきといえば砲丸投げや円盤投げ、やり投げをイメージするのが一般的ですが、握力がないため細いやりが握れないなど、障がいの重い選手のために考案された投てき種目があります。
それが、「こん棒投げ」
こん棒は長さ約40cm、重さは397g。やり投げと同じ規則で行われますが、投げ方は選手の自由だそうです。

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聴覚障がい者のスタートはライトで

聴覚障がいがある選手はスタートの合図であるピストルの音を聴くことができません

そのため、スタートに合わせて光るシグナルを選手の前に置くなど、目でスタートのタイミングを確認できるようにしています。フライングの場合は、審判員は旗を使って選手に知らせるそうですよ。

視覚障がい者の目となるパートナー

選手が視覚障がい者の場合、目で安全を確認することができないため、「ガイドランナー」と「コーラー」と呼ばれるパートナーが重要な存在となります。

ガイドランナーは選手に伴走して誘導する役割を担うため、選手と息を合わせて走ることが必要で自身にも高い競技力が求められます。ゴールの際は、ガイドランナーが選手よりも先にゴールしたり選手を引っ張ったりすると失格となります。

また、跳躍種目や投てき種目では、視覚障がいの選手に踏み切りの位置や投げる方向を教えるコーラーがいます。例えば走幅跳びでは、コーラーが踏切位置で声や手拍子を使って選手に情報を伝えるため、会場の観客は静かに観戦しなければなりません。

日々の練習で選手とコーラーはコンビネーションを磨き、練習とは違う場所で行われる大会でも、実力を発揮できるようにしているそうです。

まとめに代えて

それまでは僕の中に「可哀想な人たちが頑張っているから応援しなきゃ」「パラリンピアンは頑張っているだけで美しい」みたいな発想がどこかにあったと思います。でも取材する中で見えてきたのは、飢えるような勝利への想いや、ドロドロした嫉妬や足の引っ張り合いなど、どこでも繰り広げられるアスリートらしい人間模様でした。それで僕はある種のマイナー競技を取材しているのだと感じたんです。

スポーツライターの金子達仁さんのインタビューです。

www.tfm.co.jp

ちょっと哀れんで見る感じ、正直、私も同じように思ってました。でもパラスポーツの周辺について少し知ることで、スポーツとしての魅力やその意義に気づくことができました。今度は、パラアスリートたちの競技をテレビで実際に見てどう感じるか!?自分でも楽しみ、連日生放送はNHKにて今夜からです(発達障害特集に続いて、またNHKの宣伝みたいになっちゃった汗)

sports.nhk.or.jp

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

少しでも参考になれば幸いです^^

 

次回は個人的にとても衝撃を受けた「テクノロジードーピング」について書きたいと思います。

 

参考資料:公益財団法人日本障がい者スポーツ協会『かんたん!陸上競技ガイド』

https://www.jsad.or.jp/about/referenceroom_data/competition-guide_01.pdf